大阪冶金興業ブログOsakayakin's Blog

地道な技術研究とチャレンジ精神、それを継承したMIM技術

2020年12月21日

 ご安全に!

 前回のブログで、先代社長が大阪冶金を創業された頃のお話をさせていただきました。太平洋戦争という大変な時代でしたが多くの困難をチャンスに変えて戦時下を乗り越えてきました。

 ところで、なぜこんな話をするのかといえば、これらは単なる苦労話ではありません。どんな状況下でも知恵と決意があれば、チャンスに変えることができる、そんな教訓があると考えているのです。

 その教訓には現在の大阪冶金にとって大切な考え方があると私は確信しています。
 具体的に話を進めますと、戦後はある意味で戦中以上に大変な時代でした。焼け跡の中、人々は生きるために働く必要がありました。そんな中幸いにも大阪冶金には戦争中に培った技術がありました。

 戦後の大阪冶金は、戦時中に磨いた金属熱加工の技術を生かして民需品の製造に力を注ぎました。戦時中に国や国民のために軍需品の仕事をしていたことを、今度は日本の復興のために農機具や自動車部品といった民需品の製造にシフトしたのです。みんな貧しかったのですが不思議なことに、希望に輝いていた時代です。

 こうした地道な金属熱加工の技術の研鑽が、やがて大きな変化を生み出します。イノベーションは突然やってきます。「真空熱処理」技術という大きなイノベーションが、大阪冶金に誕生しました。この技術は私がアメリカ視察をした際に見学した「真空熱処理炉」に出会ったことが始まりでした。この「真空熱処理」は大阪冶金の根幹を成す技術ですが、当社にとって大きなことなので次回改めてお話しさせていただきます。

 今回は、その次なるイノベーションであるMIMについての話です。

 MIMとは、粉末化した金属をプラスチック成形の感覚で加工できる技術のことです。金属粉末射出成形技術と言われるMIMは、従来の加工法に比べ、自動車部品や時計など複雑で精密な金属部品の加工が可能であり、その上、機械加工と比較してもコストが低く抑えられます。こうした特徴から、精密機械や各種センサー、油圧機器など高度なモノづくりを必要とする市場に受け入れられています。1991年には生産開始、すでに30年の実績です。

 このMIMの技術も真空炉を利用した技術です。つまり技術の継承です。また1990年代からは「金属粉末射出成形研究会」や「日本粉末冶金工業会」の射出成形粉末冶金委員会の創設に参加、1995年には「テクノサロン」などアカデミズムと連携しながら研究を重ねてきました。

 こうした技術研究の積み重ねの結果の一つとして、現在は国家プロジェクトであるSIPや医工連携事業であるAMEDの参画に繋がっています。これからも未来に向けて、こうした地道な研究とチャレンジ精神が、当社の根底に流れていることを忘れないようにしたいと考えています。

ご安全に!
ご健康に!