大阪冶金興業ブログOsakayakin's Blog

産経新聞に掲載された「生活・人・国」を
守る大阪冶金の挑戦分野

2022年02月28日

 ご安全に!

 2月11日の産経新聞の全面に大阪冶金の記事が掲載されました。ジャーナリストとして活躍されている著名な大高美貴(おおたか・みき)氏によるインタビューを、私が受けるという形式の記事でした。

 ご覧になられた方も多いと思いますが、あらためてご紹介したいと思います。大高氏の的を射た質問に答えることで、普段このブログでもお伝えしていることがさらに整理されているのではないでしょうか。

 インタビュー記事の柱となるのは大阪冶金の3つの主要事業と挑戦分野についてです。

 まず一つ目は、当社の80年の歴史を積み重ねた技術である金属の熱処理加工です。
 当社は先代社長が1941年に創業しましたが、その年日本は太平洋戦争に突入しました。そこで陸軍戦闘機「飛燕」のエンジン部品を強化する熱処理を手がけていました。この熱処理こそ、それ以来80年の歴史を刻んできた当社の根幹となる技術です。また戦後においては、海軍戦闘機「零戦」のエンジンに使われていた窒化(ちっか)という技術に取り組み、鉄鋼やチタン合金の強化を実現した製品づくりを行ってきました。
 こうした技術は現在では、火力発電所の発電機の部品である耐熱合金をさらに耐久性の優れた素材に熱処理加工する技術として応用し、発電機の一部品として世界中で稼働しています。またステンレス鋼の熱加工技術である「Hi-NiTo®️(ハイナイト)」は高耐腐食性と高強度を両立させた技術として、食品関係や精密機器部品などに使用されています。

 次に二つ目は、金属粉末から製品づくりをおこなう「金属粉末射出成形(MIM)」という技術です。製品を形取った金型に金属粉末を流し込み、焼いて固めるというMIMの技術を用いることで、複雑な形状の製品でも削ったり、穴を開けたりといった工程が不要となります。現在では自動車やスマートフォンの部品製作にも適用されています。
 またMIMは新たな事業分野にも挑戦しています。近年では医療分野に挑戦しています。その一つが椎間板の代わりになる人工骨です。当社の開発した人工骨は人体に馴染みやすい表面処理をしたもので、隙間に骨が成長して入り、血管も通っていきます。つまり「人体に優しい人工骨」と言えるでしょう。現在は、金属3Dプリンターでの製造にも取り組み、患者様一人一人の骨の形状に合わせた人工骨の製造も可能となりました。

 最後の三つ目は、国際・国家プロジェクトへの参加です。具体的に言えば、核融合エネルギー研究開発の国際プロジェクト「ITER(イーター)」計画に参加しています。そこで当社は核融合反応を起こす炉の冷却部品の一部を担っています。
 また産官学連携の国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期」にも参加しています。ここでは航空機エンジンのブレードに使うオリジナル合金をMIMで製造する技術に取り組んでいます。MIMで部品を製造することで、軽量化を実現でき燃費が向上し、製造コストも下がります。
 こうした3つの技術力が評価され、「はやぶさ−1号」の姿勢制御用の燃料タンクにも採用されました。近く打ち上げられる月面探査機の部品にもこの加工技術は採用されています。

 インタビュー記事の内容は以上のようなものですが、大高氏からは、一つ一つの技術に長い時間をかけて取り組んでいること、また「生活・人・国」を守り、国家や世界への貢献を目指していることを高く評価していただき光栄に思う次第です。こうしたお褒めの言葉に恥じないように、これからも日本と世界のために未来を拓いていきたいと考えています。


ご安全に!
ご健康に!