大阪冶金興業ブログOsakayakin's Blog

言葉は鞘(さや)に納めて、サムライとしてまず行動せよ

2023年01月31日

 ご安全に!

 日本がまだ高度経済成長期だった1970年頃のことだと記憶していますが、一つのテレビCMが話題になりました。それは世界的な俳優として著名だった三船敏郎さんがビールを飲んで一言「男は黙ってサッポロビール」というコマーシャルです。若い方はもうご存知ないと思いますが、当時はインパクトのあるCMとして、多くの人が口にしたものです。

 このテレビCMはとても面白いと私は思いました。これでビールが売れたかどうかは知りませんが、このCMがヒットした理由は、日本人の多くが共感したからだと私は思います。また三船敏郎という侍映画の主役を務める俳優のキャスティングも素晴らしいと思います。

 今からもう50年ほど前のCMですが、なぜあの当時の日本人はこのキャッチコピーに共感したのでしょうか。私が思うのは、それは日本人の美徳として考えられていた「普段は寡黙だがやる時にはやる人」というイメージに共感したからではないでしょうか。おそらくそれに加えて、サムライのイメージもあるのかもしれません。

 ところで、これによく似た言葉があります。私には普段から大切にしている言葉がいくつかあり、このブログでもご紹介していますが、今回は「納言敏行(のうげんびんこう)」という言葉を皆さんにお伝えしたいと思います。

 実はこの「納言敏行」は辞書には載っていません。正確には訥言敏行という言葉です。というのも私の知り合いのさる高僧が、元の言葉を少し言い換えて作ったいわば造語とも言える言葉だからです。しかし、ここには素晴らしい知恵があると私は考えています。

 とくに「納言(のうげん)」という言葉には含蓄(がんちく)があります。つまり、これの意味するところは、言いたいことは色々あるだろうが、あえてそれを口にしない、ということではないでしょうか。剣術には「納刀(のうとう)」という言葉がありますが、これは刀を鞘(さや)に納めることを言います。剣術では「鞘の内(さやのうち)」と言って、刀を抜かないで勝負することを極意とするそうです。

 今の世の中の状況を考えると、私たちは自己主張をすることが多く、その反面に行動が伴わないといった風潮が見受けられます。こうした状況を打破するためにも「納言敏行」は実践的な教えではないでしょうか。さらに敏行も大事な教えです。つまり素早く実行しなければタイミングを逸してしまうこともあるのです。

 「納言敏行」という言葉は、日本人が取り戻すべき心構えの一つではないかと思います。新しい年はすでに始まっていますが、心身を引き締めるためにもご紹介しました。


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