大阪冶金興業ブログOsakayakin's Blog

AI時代だからこそ注目される日本の「ものづくり」!

2023年07月31日

 ご安全に!

 私は日本人の良さは、極端に言えば「ものづくり」に表れていると思います。
手先の器用さ、勤勉さ、何度でも修正する根気の良さ、そして品質の高いものを作ろうとする誠実さ。これらは、日本人の心の豊かさや美徳を示しているのではないでしょうか。

 日本人の「ものづくり」の精神は、昨日今日培われたものではなく、江戸時代の職人さんや大工さん、あるいはもっと昔の刀鍛冶の「ものづくり」の技術から伝わる、日本独自の歴史のあるものだと思います。この伝統こそ日本人が誇りすべきことだと私は考えます。

 ところで、最近は人工知能、すなわちAI技術が日進月歩の勢いで発展しており、近い将来には人間の仕事は大幅に減少するのではないか、とする説もあるようです。つまりAIの発展により、人間の仕事をAIに奪われる危機が迫っている、という悲観的な予測です。

 ある部分においてはそれは真実だと思います。しかし、私は全てがそうなるとは考えていません。AIと人の「ものづくり」は共存していくものと私は考えています。しかし、それには、条件があります。それは一方でAI的な技術を導入しながら、他方で新しい市場を開拓してゆくことです。つまり新しい「ものづくり」のお仕事を増やしてゆく努力を怠ってはならない、ということです。

 当社の例でお話します。当社は金属の熱処理業を行ってきましたが、そこから金属部品製造業へと事業を広げて行きました。つまり加工業から、製造業へと技術を継承しながら拡充していったのです。具体的にお話しすると、金属の熱処理技術を応用して、高品質・高難度の製造を可能にするMIM(Metal Injection Molding / 金属射出成形)へと発展して行ったのです。MIMは金属をプラスティックのように形を作って焼き固める技術で、複雑形状部品を生産できる工法として脚光を浴びています。

 またMIMの金属粉末の製造技術を応用して、3Dプリンタ導入による金属積層造形を実現しました。これは椎間デバイスなど医療機器の製造業を可能とした新しい「ものづくり」です。このように当社は、時代の変化に対応しながら、「ものづくり」の精神を忘れずに常に新しいチャレンジを行ってきました。

 時代は、かつてのような同一規格品の大量生産が終わり、より繊細さを求める少量多品種生産の時代にシフトしています。もちろん、ある程度のロットは必要ですが、大切なのは、今まで市場に存在しなかった製品の「ものづくり」のチャンスがあるということです。このニッチな「ものづくり」こそ、日本人の得意分野ではないか、と私は楽観的に考え、日本の製造業の未来にこれからも期待しています。


ご安全に!
ご健康に!