大阪冶金興業ブログOsakayakin's Blog

宇宙を目指す技術、その夢は永遠に輝く。

2023年09月07日

 ご安全に!

 9月7日、種子島宇宙センターのH-IIAロケット47号の打ち上げが見事成功しました。まず関係者の皆様におめでとうございますとお伝えしたいと思います。まさに日本の技術の結晶が宇宙を目指した瞬間と言えるでしょう。

 ところで、技術には夢があります。人々に大きな夢を見させてくれる魅力があります。とくに日本の製造業の技術は、たんに大きな夢を見させてくれるだけでなく、それを社会の中で実現化する実装能力に優れていると私は思います。

 まさにロケットにはさまざまな技術が実装されていることでしょう。例えば、今回のH-IIAロケット47号には、大きなミッションがあるとお聞きしています。それはXRISM(クリズム)とSLIM(スリム)という両機を搭載していることです。

 XRISMはX線分光撮像衛星であり、例えば、ブラックホールの存在を証明する撮影をするのが役割の一つです。また、もう一つの探査機SLIMは、小型月着陸実証機と呼ばれています。このSLIMのミッションもかなり複雑で繊細な技術を必要としています。

 SLIMは月の表面に着陸することが重要な役割ですが、ただどこにでも着陸すれば良いのではなく、ピンポイント着陸技術が必要とされます。なぜそうした精緻な技術が必要かと言えば、SLIMのミッションの一つに、月の起源説の解明というのがあり、それには月面の外側の層にある土を採集する必要があるのです。しかもその採取エリアは非常に限られているのです。

 つまりSLIMは降りたい場所に降りる、というミッションを成功させるために、高度な技術を実装しているのです。その誤差は100m以内。これはアポロの宇宙船着陸の誤差が数キロと言われているのとは大きな差があります。こんなところにも、日本ならではの技術と発想があると私は思います。

 ところで、当社は、このSLIMにチタンの金属部品の熱加工技術を提供しています。宇宙衛星ではすでに「はやぶさ」で実績があり、その功績も評価していただいての採用です。また私には、チタンに関して、個人的な思い入れがあります。

 とても個人的な話になりますが、私は18歳の時に関西大学の工学部に入学し、亀井教授の下、チタン合金材料の研究を始めました。その後も、研究活動を続けながら、大阪冶金において、チタン・チタン合金に関する製品開発に携わり、68歳の時に関西大学から工学博士の学位を授与されました。18歳で始めた研究を、その後50年、実に半世紀の長きに渡ってやり続け、学位が授与されました。しかもそれが研究で終わるのではなく、研究を製品化し、やがて当社で熱加工した金属部品が月面着陸の探査機に実装されることは、個人的にも特別に感慨深いものがあります。

 私の申し上げたいことはシンプルなことです。小さな夢でも長く持ち続けることで、大きな挑戦が可能なる、ということです。宇宙ロケットや月面着陸といえば、壮大な夢に違いありませんが、夢を持ち続け、それぞれの立場で時間をかけて技術を磨き、いつか大きな夢に挑戦する、そのことの大切さをお伝えしたいと思いました。


ご安全に!
ご健康に!