大阪冶金興業ブログOsakayakin's Blog

「ものづくり」と「日本人」の精神の重要性について

2024年02月21日

 ご安全に!

 2月11日の産経新聞の紙上でジャーナリストの葛城奈海氏と私の対談が掲載されました。すでにお読みになられた方もいるかもしれませんが、まだお読みになられていない方のために、簡単な内容と感想をお伝えしたいと思います。

 対談では、直近の話題として、1月20日に月面着陸機「SLIM」(スリム)が月面着陸に成功したことから始まりました。「SLIM」は月面着陸に成功した世界で五ヵ国目の事例になりましたが、その着陸精度の高さが世界の注目を浴びました。この「SLIM」には当社の金属材料の熱加工技術が活かされていました。さらに「はやぶさ1号機」にも当社の技術が採用されていたことが対談での話題となりました。

 こうした国家プロジェクトに参加させていただいたことを光栄と思います。しかし、それ以上に当社としては、お国のために何かをお手伝いしたい、という気持ちの方が強かったといえます。その気持ちは当社の創業の頃から現在に至るまでの継続した思いです。

 当社の創業は1941年10月で、太平洋戦争が始まる数ヶ月前です。創業者の寺内要は「今はお国の一大事」ということで陸軍の戦闘機「飛燕」のエンジン部分の強度を高める熱処理を手掛けました。飛燕は敵の戦闘機から国を守るために製造された戦闘機であり、その期待どおり本土防衛のために活躍しました。その思いは今も「生活を守る」「人を守る」「国を守る」という経営の理念に受け継がれています、というお話をしました。

 さらに「ものづくりの理念のバックボーンには精神的なものが必要」という話になり、石碑について質問をいただきました。当社の三木工場には石碑があり、そこには「八紘為宇(はっこういう)」の文字が刻まれています。「八紘為宇」という言葉は今はあまり使われていませんが、その意味するところは、「天の下に、家族のような仲の良い社会を築いていこう」ということだと思います。こうした精神がこれからの日本には必要だという発言をしました。

 ところで対談の相手をしていただいたジャーナリストの葛城奈海氏は「日本を守るため、明日から戦えますか?」という本を出版されています。この本の副題は「13歳から考える安全保障」です。「精神の質」を考えたら、現状が心配でなりません、と葛城氏は指摘されました。そして「八紘為宇(はっこういう)」の精神を持ったリーダーが必要だと発言されました。

 私は大いに共感しました。その上で、我々はエンジニアとして、世界中の技術を知りながら、それを日本のために導入できるかどうかを、慎重に検討し、製品化を実行する、という流れが必要です。つまり「思考から実行」への流れを、短期的な利益追求ではなく、長期的なスパンで、国のため、家族のような社会のために、行っていきたい、と思いを語りました。


ご安全に!
ご健康に!