ご安全に!
最近よく考えていることの一部をご紹介したいと思います。それは高齢化社会の到来という大きなテーマです。もちろん、このような大きなテーマは私一人が考えたところで簡単に解決する問題ではないのですが、しかし避けられない問題であるならば、一人一人が少しでも前向きに考えることで解決のヒントにつながるのではないか、と私は感想を持っています。
私の考えでは、高齢化社会を悲観的に捉えるのではなくてプラスの視点が必要だと感じています。つまり個人にとっては素晴らしい人生を送るための環境の整備であり、社会にとっては優れた貢献をもたらす人材の育成である、というように。そして、それには、健康寿命という観点が不可欠ではないでしょうか。
ご存知のように、健康寿命とは、たんなる長寿命ではなく、健康的に長生きすることです。この健康寿命はこれからの高齢化社会を考える上で、大切な課題と言えますが、当社はものづくりを通じて、健康寿命という価値のあるテーマに微力ながらも取り組んでいます。
なぜ、そのように社会的に大きなテーマにこだわるのか? それは当社、大阪冶金興業の創業に関係があります。
当社は金属の熱加工業を事業としてスタートしました。1941年のことです。太平洋戦争が始まる直前のことです。国が大変な時に少しでもお役に立てることをしたい、と先代は考えて事業を起こしたのです。そして、ものづくりで国に貢献しました。戦後も金属熱加工から製造業へと業態を拡張しながら、社会に貢献するという事業の精神を継承して行きました。そして現在もその精神は継承されています。健康寿命に関するものづくりで社会に貢献する、というのもその一つです。
では、どんなものづくりで健康寿命というテーマに取り組んでいるのか? 具体的に言えば、金属加工・製造・素材という積み重ねの技術を土台としながら、3Dプリンターなどデジタル技術を採用して、人工関節や人工顎などの医療機器の製造を行なっています。
関節や顎というのは、「歩く」「食べる」という人間の基本的な動作を支援するもので、健康に欠かせない人体のパーツです。欠損部分を補うこうした人体パーツを製造することで、高齢者のみならず誰もが健康的な暮らしができる、その一歩となるようにと心がけています。
歴史的にも社会的にも、日本の企業はものづくりにこそ強みがある、というのが私の持論です。誰もが100歳まで健康に生きるというのは高い理想かもしれませんが、私はお仕事を通じて少しでもその理想を実現して、社会のお役に立ちたいと考えています。
ご安全に!
ご健康に!